オーバーホール

ここではリールのオーバーホール方法を紹介しています。




はじめに


 リールは機械なので定期的にメンテナンスをしなければなりません。メーカーにオーバーホールを依頼するのも良いですが、 お金と時間(1週間)がかかるので出来れば自分でやりたいものです。

 

そこでここでは、スピニングリールの「カルディアKIX」を例に挙げて、リールのオーバーホール方法を紹介しています。

 

重要

 

リールを分解するに当たり、誤った組み立て方をするとリールが壊れる可能性もあります。どのようなことがあっても、一切責任を負いません。すべて自己責任でお願いします。

 

必要な工具、グリス


(左から)

【ミニドライバー】リール内部の小さなネジをはずすのに使います。必ずサイズの合ったものを使用してください。

【マイナスドライバー】ハンドルをはずすのに使います。コインで代用することも出来ます。

【プラスドライバー】ボディーの解体に使います。

【レンチ】ローターを固定しているナットをはずすときに使います。

【プライヤー】小さな部品をつまむ時に使います。


 (一番上⇒Spin Parts Cleaner、中段左⇒Spin GREASE Finesse、真ん中⇒Spinトリートメント剤、右⇒REELにシュッ、一番下⇒マルチグリス)

【Spin Parts Cleaner】部品の油を落とすために使います。

【Spin GREASE Finesse】ドライブギヤ等に塗ります。

【Spinトリートメント剤】ベアリングに使います。

【REELにシュッ】ベアリングに使います。

【マルチグリス】ストッパーレバー等に使います。


Q&A


Q1

ベールに糸を通さずに巻くと大丈夫なのですが、ルアーをキャストして巻いた場合にシャラシャラと音がします。

A1

特にダイワのリールは良くこの症状が発生します。ラインローラーのベアリングが汚れているかオイル切れですので洗浄、オイルアップのメンテナンスで直ります。ハードに扱わないのならベアリングをプラベアに変更することで音は完全に消せます。

Q2

糸を巻き取らない状態でハンドルを回すと、「ウォンウォン」又は「ゴリゴリ」といったギヤがすれる音がします。

A2

自分でリールを分解したことがあるならば、ワッシャーを入れるところが間違っている可能性があります。また、分解時にローターをはずした状態でハンドルを回すと、ウォームギヤの軸が傾くことによりドライブギヤ、ウォームギヤともに破損する場合があります。もし長く使用してきたならば、ギヤの寿命も考えられますので、その際は新しいものと交換してください。

Q3

糸を巻くとスプールの上又は下に隙間が出来てしまいます。

A3

ラインをナイロンからPEに変えたときに良くこの症状が起こります。これはスプールワッシャーの枚数を増減させることで修正可能です。スプールの下が開く(上が盛り上がる)なら増やす、上が開く(下が盛り上がる)なら減らしてください。スプールワッシャーが無い場合は、プラスチックを丸く切ってこれで代用することが出来ます。

Q4

ハンドルを回してリールを傾けるとガラガラいいます。

A4

ドライブギヤを支持するベアリングの間に隙間があります。ここにワッシャーを追加すれば良いのですが、ギヤのバックラッシュ(隙間)を適切にするのは難しいため、何度も適切なワッシャーをつけて試さなければなりません。分解後にこの症状が現れた場合はワッシャーのつける位置を誤った可能性があります。

Q5

ハンドルの回転がスムーズではなくなった。

A5

これにはいろいろな原因があります。グリスの塗りすぎ、適正でないグリスを塗った、ベアリングが錆びてきた、駆動部に砂が入ったなどです。一度オーバーホールをすれば直る可能性があります。

Q6

クラッチをONにしているのに、ハンドルが逆回転することがあります。

A6

ワンウェイクラッチに少量のオイル(粘度が低い)が入った可能性があります。パーツクリーナーで油を飛ばしてからダイワのオイル(安いチューブのやつ)を塗ると直ります。

Q7

ハンドルがほんの少し戻るようになりました。

A7

ドライブギヤが消耗、または、Q6と同理由からこの症状が発生する場合があります。釣りに支障がないレベルであればそのまま使用しても良いと思います。アオリイカシーズンはリールに高負荷をかけるため、シーズン終盤には良くこの症状が出ます。

※カルディアKIXは購入時からこの現象があるものもあるようです。原因はワンウェイクラッチです。仕様かもしれません。

Q8

ハンドルをテンションフリーで高速に回転させていると、スプールが一番上又は下にきたときに「カチッ」っと音がします。

A8

オシレーティングポストには隙間があり、メインシャフトが微妙なネジレ回転をすることによって、オシレーティングスライダーの一部がリール本体と当たって音がします。気にしなくていいのですが、もし気になるようでしたら、オシレーティングポストに粘度の高いグリスを付けるとにより音を消すことが出来ます。

Q9

ベールがスムーズに返せなくなった。

A9

軽いざらつきならばティッシュで拭いてグリスを塗れば直ります。

ひどい場合は、ベールが変形しアームレバーとその軸がズレた可能性があります。ベールは意外と変形しやすく、落としたりぶつけたりすることで簡単に変形してしまいます。変形したまま使用していると軸が消耗し、今回のような症状が出ることがあります。ローターとアームレバーを新品に交換して、ベールを手で最適な形に戻せば直すことが出来ます。